島田枝里 話し方コンサルタントへの道 (5)

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これまでお話してきたとおり、
私の仕事は、アナウンスと紅茶。

長年、二つの活動を一つにすることなく、
別々の名前で、
別々のものとして仕事してきました。

それは、思うところがあり、
最初から敢えて
そうしてきたわけですが、
始めたばかりの頃は
まだ迷いがあったのも事実。

ある日、県域ラジオの生放送で、
周囲に後押しされたことで心が揺らぎ、
紅茶の仕事について
話してみたことがありました。

思った以上に評判がよく、
ありがたいことに、
ラジオを聞いてくださった方の何人かが
後日紅茶を買い求めてくださるなど、
嬉しい反応もあったのです。

しかし一方で、
面白半分で仕事場に電話をかけてくる人が現れたり、
留守番電話に、延々無言の静寂だけが残されていたり・・・

“元局アナが、紅茶の先生やってます!”

いっそそう宣言した方が集客はできたかもしれません。

が、何かが違う。

紅茶の方は、資格を取ったとはいえ、
まだまだ駆け出し。
実践と勉強、
両方を積み上げていかなくてはいけないとき。

悪目立ちしただけでつぶれてしまうよりも、
どちらの仕事も
プロとして自信が持てるまでは
同一人物だとは明かさないで活動しよう。

そう心に決めたのでした。

以来、どちらの仕事も
楽しみながらも自分なりに一所懸命
努力し続けてきました。

当時は今ほど情報もノウハウもなく、
横のつながりも実に希薄。

特に個人で行うネット通販の世界は孤独で、
商品は時に海外へも飛ぶのに、
自分自身はいつも一人でいるような感覚…

ただ、そんなことより、
フリーランスの特権で、
基本的に自分のペースで出来る仕事というのは
当時の私には一番の魅力でした。

外で仕事をしている間も、
ネットでは紅茶の注文を受けることができます。

パソコン仕事の合間に体調が悪くなれば、
手が空くとすぐに横になり、
アナウンスの仕事に備え、
無理を避けることもできました。

妊娠・出産のときも、
子育て最優先で、仕事を限界までセーブ。

ネットショップは長期休業、時々限定オープン。
それですら継続は非常に大変なものでしたが、
規模が小さかったからこそ
持ちこたえた面もありました。

話が少しそれますが、
理解ある職場、家族、
お客様にも恵まれたことも
記しておきます。

例えば、
紅茶教室では、
2時間立ち続けることが出来ず、
紅茶教室の途中で席に腰かけ、
紅茶の淹れ方実習の時間とし、
体力の消耗を防いだこともありましたし、
(生徒さんは、私の具合の悪さには
どなたも気付かれませんでした。
今日はそういうレッスンなんだと
思われたのだそうです 笑)

ラジオでも、
ひどい悪阻でフラフラになりながら
やっとの思いで
マイクの前に座って生放送。
(よく倒れなかったと思いますが、
それ以上に、よく信頼して起用し続けて
いただけたな思います。)

産後は2か月でラジオ復帰。
たとえ寝不足でも、
仕事することで
とてもリフレッシュできたことなどなど、

当時は涙が出るほど大変だったことも、
今となっては懐かしく思い出されます。

周りの協力、
好きを仕事にしたモチベーション、
時間の調整がある程度可能だったこと。

二つの仕事をこなしながら
家事、育児にと毎日奮闘できたのも、
こうした状況があったからでしょう。

それでも、
子どもたちが生まれてからの日々は、
体力的に想像の何倍もハードで、
特にネットショップのお客様の期待に
お応えできない状況も生まれてしまい、
いやでも働き方を見直す必要が出てきました。

そこへ、
二つの名前を使い分ける煩わしさが
ストレスになり始めるのです。

紅茶の仕事をしているとき、
おしゃべりの仕事であった
面白い話をすることができない。

おしゃべりの仕事をしているとき、
紅茶の話題をすることに抵抗感がある・・・

せっかく二つのことを経験しているのに、
十分に生かしきれないのは、
もったいないことです。

いつまでもこの二つの仕事を
別のものとしてやっていくのだろうか?

どちらかをやめるべき?

それとも、
二つを一つにすることはできる??

別のものとしてやる!
と決めて頑張ってきたけれど、
この状況は、やはり不自然です。

現在の姓、旧姓、
局で用意していただいた名刺。
一時は4種類の名刺を使い分けていました。

島田として初対面だった方と、
別の機会には滝沢でお仕事させていただく
というようなこともよくあり、

「さすがにややこしいですよね~(笑)」

私の苗字は、もはや定番笑い話のネタ状態(^^;

誰かに相談すると、
「島田でも滝沢でも、
どっちでもいいんじゃない?」という
完全に他人事でしょ!
とツッコミ必死な反応ばかりで、
私の悩みをきちんと理解してもらえることは、
ほとんどありませんでした。

「自信が持てるまでは・・・」

そう思っていたものの、
いつの日の、何をもって、
自信が持てた!と言えるのでしょう。

その線引きも、
正直なかなか難しいものでした。

ですが、

「まだまだ勉強も経験も足りない。」

そう言う私に対し、

「もっと自信を持った方がいいですよ!」
「何を言っているんですか!
立派なプロじゃないですか!?」
「これだけ実績があるのに、
謙虚すぎますよ!!!」

もったいないほどの言葉ばかりですが、
実際に周りの人たちは、
こんな嬉しい言葉を私に返してくださったのです。

その行間にあるメッセージは、
「自信を持って前へ!!」

そのおかげで、やっと、
どちらも経験を重ねてきたのだから、
そろそろ二つを一つにしていく段階に
入ってもいいのではないかと
思うようになったのでした。

振り返ってみれば、
学生時代のケーブルTVを含めると
アナウンス歴25年以上。
紅茶講師歴は15年以上。

もちろん単に長ければいいというものでもありません。

途中大変な時期もあり、
全てが順風満帆だったわけではありませんが、
ただ、どちらもこれだけの年月、
途切れることなく続いたこと自体は、
胸を張っていいことなのではないでしょうか。

そのことを明確に自覚するのは
もっと先になるのですが、

かけていただいた言葉に後押しされて、
前に行こうと
自分の中で踏ん切りをつけることはできました。

でも、どうやって?
果たして、二つの仕事は
どんな形で一つにできるのでしょう?

新たな悩みが出てきた
そんな折、
私にトーク術を教えてほしいという
これまでになかった話が持ち掛けられます。

それは、意外なところから、
意外な形で突如舞い込んだものでした。

私の経験は無駄ではなかった!
ついにそう実感できる時が
やってくることになったのです!

・・・次回へつづく・・・

話し方コンサルタントへの道 (6)

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